シリーズ “Talk your story. Learn new world.” 第1回特別編「シリア」

chaptertwo/ 11 12, 2018/ 未分類

Chapter Twoにて始めたシリーズ”Talk your story Learn new world”
第1回特別編は「シリア」にスポットをあてた。

第1部では映画『カーキ色の記憶』の上映、
第2部ではシリア人ジャーナリストのナジーブ・エルカシュ氏に登壇いただき、
アサド独裁政権発足時から現在に至るまでのシリアの状況についてお話いただいた。
そして10名の参加者と共に「問題の本質は何なのか」という問いに向き合った。

〇映画『カーキ色の記憶』について
シリアの悲劇は、2011年に始まったわけではない。
1980年代にアサド体制に反対した多くの若者が当局に追われ、国を去らざるを得なかった。
何故シリア社会が爆発し、革命が始まったのか、その背景に迫る。
4人の語り手の過去の記憶から、未来を見据えるシリア人の物語。
https://www.memory-khaki.com/ 

本映画に関しては、
岡崎弘樹氏の論文「シリアの記録映画に描かれる<崩壊>の経験―記憶、表象、 他者をめぐる創造空間」を参照されたい。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784272439133

〇ナジーブ・エルカシュ氏のトークを受けて

<自由に話せるのは家の中だけ>
例えばカフェなどで政権に対する意見を口にしようものならすぐに拘束されるか消された。
「内戦前のシリアが懐かしい」という人がいるが、
このような発言の自由のない抑圧された状況を懐かしむ一般シリア人がいるだろうか。

<なぜこれほどまでに混沌としてしまったのか>
独裁政権に対してNOを突きつけ、自由を訴えた民衆蜂起から、なぜ現在のような混沌とした状況が生まれてしまったのか。
政権側の軍事力に対して、反体制側はレバノンのヒズボラやイランの支援を得たものの不十分で、
結局周辺の原理主義組織に頼らざるを得なかった。
それらの組織は結局のところ、「シリア人のために」ではなく、「自らの影響力を高めるために」動いたに過ぎなかった。
結果、対立構造がめちゃくちゃになり、より一層混沌が深まることになってしまった。
生活が苦しくなり、絶望感が募り、家族を養うために過激派組織に入る人もいたという。
完全なる「善・悪の対立構造」ではないのが現実だ。

<難民の固定化されたイメージ>
難民は、「教育も受けていない悲惨なかわいそうな人たちが大挙して押し寄せる」というイメージで固定化されがちだ。
が、実際はきちんとした教育を受けた人が多く存在する。
例えばある人が辿り着いた先でスマートフォンを持って写真を撮影していたというする。
すると、「スマートフォンを持つなんて余裕があるじゃないか。全然かわいそうではないじゃないか」という人がいる。
まず前提として、難民が「普通の人」であることを忘れてはいないか。
スマートフォンは国を追われてきた人にとって命の次に大切とも言えるツールである。
固定化されたイメージに一致しようとしまいと、難民は厳しい立場に立たされているのが現状。
世界的に右傾化する中で、その傾向はより強まっているのではないか。

初めての試みに対して手を挙げてくださった方は皆バックグラウンドは様々だが、シリアに対する関心を既に持っていて、
「もっと知りたい」と考えて参加してしてくださった方ばかりだった。
そのため、ナジーブさんに対する質問も多く寄せられ、非常に活発な議論が交わされた。
参加後には「知ってしまった以上は何かせずにはいられない。自分は何をすべきかを考えたい」といった感想が寄せられた。

本シリーズの狙いは、まさに「アクション」に繋げることである。
次回はまた新たなテーマを取り上げるが、シリア問題についてはChapter Twoとしても継続的に取り組んでいく。

〇登壇者 ナジーブ・エルカシュ氏 (Najib El-Khash)
ジャーナリスト、リサーラ・メディア代表
1973年シリア生まれ。1997年に来日。東京大学大学院、名古屋大学大学院にて映画理論を研究。
1998年から日本や北東アジアを取材し、アラブ諸国やヨーロッパのメデイアに取材を配信。
日本のテレビ番組にも出演(BS-TBSの『外国人記者は見た!』、東京MXテレビの『モーニング・クロス』、テレ朝の『世界が驚いたニッポン!』、日本テレビの『NEWS ZERO』など)
文化交流の分野にも活動してる(東京アラブ映画祭の企画アドバイザーなど)