“シリアを知る”

chaptertwo/ 9 16, 2018/ Erika Blog

シリーズ ”シリアを知る” の第3回目に参加した。

<プログラム>

第1部:映画『カーキ色の記憶』の上映

第2部:専門家によるトークセッション

・岡崎弘樹氏(アラブ政治思想・シリア文化研究専門)

・山崎やよい氏(考古学者・シリア女性プロジェクト「イブラ・ワ・ハイト」発起人)

第3部:ザイナ・エルヒーム氏(シリア人国際ジャーナリスト)とのスカイプセッション

主催はStandwithSyriaJapan(以下SSJ)という団体

https://www.facebook.com/StandwithSyriaJapan/

 

◾映画『カーキ色の記憶』について(https://www.memory-khaki.com)

<あらすじ>

シリアの悲劇は、2011年に始まったわけではない。

1980年代にアサド体制に反対した多くの若者が当局に追われ、国を去らざるを得なかった。

監督の個人的な物語が、他の4人の語り手の物語と重なり合う。

くすんだ軍服に象徴される沈黙や恐怖、戦慄の記憶。

赤い風船に託された自由と抵抗。

何故シリア社会が爆発し、革命が始まったのか、その背景に迫る。

 

シリア人を追ったドキュメンタリーとして、

これまでに『ラッカは静かに虐殺されている』、『ラジオ・コバニ』を観たが、

どちらも「対IS」が主軸となった構成だった。

今回観た『カーキ色の記憶』の重要な点は、

社会が爆発した原因たる問題が何十年も前からあり続けたのだということに焦点を当てていること。

アサド政権によって抑圧され、自由を封じ込められてきた人々が、「アラブの春」の中で蜂起したという事実。

これがISを巡るセンセーショナルな報道に掻き消されてはいないだろうか。

登場人物4人それぞれが投げかける言葉には、あまりに突き刺さるものが多い。

“世界が注目する中で、私たちは売りに出されている。シリア人の血は世界に捧げられている・・・・・・大勢の死を、世界は自然現象のように眺めている”

“原理主義に走る者の気持ちだってよく分かる。擁護しないが、理解はできる。立場が違えば、僕も同じ道をたどったかも。監獄で拷問された時、武器を持ちたくなった。もし家族が殺されたら、どうなるだろうか”

 

◾トークセッションで印象に残ったこと

「既存の<筋書き>によって「シリア」への見方が作られている」(岡崎氏)

・筋書きとは・・・2011年以前の方が良かった、中東はテロリストが常に存在するので絶対権力によりそれを抑えなければならない、反政府軍は欧米から支援を受けているので信用ならない、シリア人はかわいそうな人々、国際社会は彼らを助けてあげている、など

・この見方を強化し、その効果を利用するアサド政権、ロシア、イラン

→私たちはこの筋書きを、無批判に受け入れてはいないか?特に「かわいそうな人々」という見方は日本人の道徳観からは生まれやすい。が、そんな扱いは求められていない。『カーキ色の記憶』のタンジュール監督は「憐れみという感情が非常に嫌いだ。私たちは常に上を向いている。自尊心を決して失っていない」と話す。

「<一線>を超えた発言ができない環境・イデオロギー教育」(山崎氏)

・普通の生活の中でさえも、自由な発言ができない。不満のぶつけどころがわからない。

・偏った教育を受けながらも、「何かおかしい」と感じる批判的な精神は育っている。

→将来のシリアを担う次世代に対しての関わり方は?たとえこの戦争に敗北したとしても、そこで「終わり」ではない。私たちに何ができる?終戦後のシリアを黙殺しないためにはどうすれば良い?人々に対する精神的な連帯を示し続けること。

「国外ジャーナリストは政府により守られている。しかしシリア人ジャーナリストにとって守られるべき政府は存在しない」(エルヒーム氏)

・多くのシリア人ジャーナリストや活動家が「要注意人物」として拘束され、投獄されているが、ニュースにならない。

→エルヒーム氏本人も「要注意人物」としてマークされ、シリアからの脱出を余儀なくされた。そのような危険な状況下でも活動すること、伝えることをやめない勇敢な人がいる。そのような人々が発信する命がけの情報の「受け取り手」になるかならないか。

「国際社会は”動かしやすいコマ”としてのアサド政権を残すことを選択し、自由を求めた民衆の側には立たなかった。」

「武器の実験の場、武器の売り先としての戦場」

 

◾連帯を示すということ

SSJの方々が政権に対して抵抗を続ける人々への連帯を示すため

「#EyesOnIdlib」というプレートを掲げた写真を投稿したところ、大きな反響があった。

すると、それをキャッチした現地イドリブからこのような写真が送られてきたという。

連帯を示すために行われる同様のムーブメントを目にした時、私は正直なところ、「結局何も動かせないのでは」と考えてしまうことがある。

が、今回のSSJの方々の行動は現地の人々にしっかり届き、共にあるのだということが伝わったはずだ。

人一人に何ができるのか、何も動かせないのでは、という考えが邪魔をして何もできずにいる人、

何かしたいけれど何をして良いのかわからない、と考える人にとって、一つの道が示された素晴らしいケースだと感じる。

 

◾Chapter Twoはどう行動するか

私たちは世界を少しでもよくしたいという思いのもとでChapter Twoを運営しています。

それは、「世界がよくなること」=自分の幸せだと考えるからです。

そして、そのように考える人にChapter Twoを利用していただきたいと願っています。

 

私たちは今回いただいたご縁を受け、Chapter Twoにおいて、シリアへの理解を深めるイベントの開催を企画したいと考えています。

とても不思議な、導かれるような出来事により出逢ったシリア人ジャーナリストのナジーブ・エルカシュさん、

今回のイベントで登壇された岡崎弘樹さん、

お二人それぞれにご相談させていただき、お二人とも「やりましょう」と言ってくださったことはとても光栄なことです。

できる限り早く実現できるよう進めていきたいと思います。